中小企業経理を効率化したい社長必見!経営×ITコンサルタントが非効率の解決策を解説

経理業務を効率化し、少人数で運営することは中小企業にとって理想的です。

実際に、私がコンサルタントとして関わる企業の多くが「人手不足」を深刻な課題として抱えています。可能な限りシステムを活用し、人手を最小限に抑えたいと考えるものの、属人的な作業が多いなどの問題でなかなか改善に踏み切れないのが実情でしょう。

そこでこの記事では、中小企業診断士とITストラテジストのダブルライセンスを持つ現役コンサルタントが、経理業務における理想と現状、問題の原因を解説し、解決策を提示します。

※経理DXを進める方法、手順、おすすめのシステム等は以下の記事で解説しています。

目次

中小企業の経理業務における理想の姿とは?

中小企業の経理業務における理想の姿とは?

社長目線で「経理業務が理想的に運営される状態」とは、少人数または1人(本音はこちら)で効率的に経理業務がこなせることでしょう。

システム化が進んでいれば、社長自らが細かな作業に関与する必要もありません。たとえば、クラウド会計ソフトを利用すれば、自動で取引明細を取り込み、帳簿がほぼ自動生成されます。経理業務がシステムによって仕組み化・標準化されると、人的ミスの防止やコスト削減が可能になります。

一方、アウトソーシングで経理業務を外部委託する企業も増えており、完全に人を配置せずに業務を回せる例も出てきています。こうした運営体制を目指すことが、中小企業経営者にとって特に理想的な経理の姿といえるでしょう。

中小企業経理のイマ

中小企業経理のイマ

中小企業の経理業務は、以下のような現状に気づきながらも、改善への一歩を踏み出せないことが課題となっています。

それぞれの現状について、深掘りしてみましょう。

属人化している

多くの中小企業では、経理業務が属人的に運営されています。このような体制では、特定の担当者の退職や異動により、業務が滞るリスクが高まります。

特に、退職や異動によって業務の知識がリセットされ、後任者が業務を把握するまでに時間がかかるケースも少なくありません。このため、業務が停滞し、経営全体に悪影響を及ぼすことがあります。

経理業務が属人化するデメリット
  • 担当者が急に辞めたり休んだりすると業務が滞る
  • 引継ぎが困難になる
  • タイムパフォーマンスが個人の業務プロセスに依存する

アナログ作業が多い

紙ベースの伝票処理や手作業の多さも、非効率な運営を招く原因です。手作業による経理処理が多いと、少人数での運営は難しくなります。そのため、追加で経理担当者を雇う必要が生じ、結果として人件費の増加を招いてしまいます。

また、手作業によるデータ入力は、ミスの発生率が高く、ダブルチェックが必要になるため、さらに時間がかかることになります。このように、人海戦術に頼った経理業務の運営が、労働力不足の中で経営者にとって大きな負担となっており、経営者が本来注力すべき業務に集中できない原因の一つとなっているのです。

経理業務にアナログ作業が多いことのデメリット
  • 作業時間が増えることで人件費が増加する
  • 入力ミスや計算ミスが発生しやすい
  • 情報の検索や集計がしにくい

経理業務における非効率の原因を探る

経理業務における非効率の原因を探る

経理業務には下記の課題が存在し、これらの問題が業務の効率化を妨げています。ここでは、その中でも特に重要な2つの「ナゼ」について詳しく説明します。

経理業務の非効率化 2つの「ナゼ」
  • なぜ属人化から抜け出せないのか
  • なぜ紙中心の業務から抜け出せないのか

なぜ属人化から抜け出せないのか

中小企業の経理業務では、特定の担当者への依存が続いています。

これは、

「この仕事はAさんしかわからない」
「いつもBさんに任せているから」

という形で、自然と業務が一部の人に集中していくためです。

さらに、

「今のやり方で回っているから」
「詳しい人に任せておけば安心」

という意識や心理も手伝って、業務の偏りに気付きながらも、なかなか改善に踏み出せない現状があります。結果として、属人化の解消を先送りにしてしまう状況が続いているのです。

なぜ紙中心の業務から抜け出せないのか

中小企業の経理業務では、今なお手作業による処理が目立ちます。その背景には、長年慣れ親しんだやり方を変えることへの不安や、新しいデジタルツール導入に伴うコストと手間への懸念があります。

デジタル化の必要性は分かっていても、「今のやり方で特に困っていない」「従業員の教育が大変そう」といった心理が働き、結果としてアナログ作業が続いているのが実情です。

ITデザイナー

「効率化を進めてほしい」と経理担当に伝えてはいるものの、現場の現状維持バイアスによる反対でやりにくさを感じている経営者の方も多いのではないでしょうか?

中小企業の経理を効率化する3つの施策

中小企業の経理を効率化する3つの施策

経理業務を効率化するためには、次のような解決策が有効です。

アナログ業務のデジタル化

経理業務の効率化には、以下のような各種システムの活用が効果的です。自動仕訳やレポート作成など、システムが持つ機能を使いこなすことで、手作業の多くを省力化できます。

会計システム仕訳から財務諸表作成まで一元管理
請求書発行システム作成から入金管理までを自動化
経費精算システム申請から承認までをペーパーレス化

これらのツールを組み合わせることで、人的ミスを減らしながら、経理担当者の作業時間を大幅に短縮できます。

経理業務のアウトソーシング

アウトソーシングの主なメリット
  • 最新の税制改正や会計基準の変更にも柔軟に対応
  • 専門家による高精度で信頼性の高い経理処理の実現
  • 経理担当者の採用や教育にかかるコストの削減
  • 経営者が自分の時間を確保し、本業に集中できる環境の整備

経理業務のアウトソーシングとは、企業が経理関連の業務を外部の専門機関に委託することを指します。アウトソーシングでは、日々の仕訳作業や決算書の作成といった複雑で時間のかかる業務を専門家に任せることができ、経営者は自分の本来の業務に集中できるようになります。

人材育成の徹底

経理担当者には、基礎的な簿記の知識から実務的なスキルまで、幅広い能力が求められます。また、担当者が交代しても業務を滞りなく進められる環境づくりも欠かせません。

そのため、以下のような計画的な人材育成を進めることが重要です。

  • 簿記の知識を身に付けるためのプログラムを提供する
  • 会計システムの使い方をしっかりと習得させる
  • 手順をマニュアル化し、誰でも同じ手順で業務を遂行できる環境を整える

こうした仕組み作りにより、経理業務が属人化せず、効率的に引継ぎができるのです。

よくある質問

よくある質問

経理業務のデジタル化にかかるコストはどのくらいですか?

経理業務をデジタル化する際のコストは、使用するシステムやツールの種類によって異なります。クラウド会計ソフトなどの導入には、初期費用に加えて月額料金が必要となることが一般的です。ただし、導入による効率化で人件費や作業時間の削減につながるため、長期的にはコストパフォーマンスが向上するケースが多いです。

経理業務の効率化を始めるには何から手をつければいいですか?

経理業務の効率化を始めるには、まず現在の業務プロセスを見直し、どの部分に非効率があるかを特定することが重要です。その後、クラウド会計ソフトの導入やペーパーレス化、業務の標準化など、優先度の高い対策から取り組むことで、効率的な運営体制を整えることが可能になります。

経理業務をアウトソーシングするデメリットはありますか?

経理業務をアウトソーシングすることで、コストが発生することや、企業の内部情報を外部に共有するリスクがあるといったデメリットがあります。また、コミュニケーションが不足すると、企業のニーズに応じた柔軟な対応が難しくなることも考えられます。そのため、信頼できる業者を選び、適切な契約内容を取り交わすことが重要です。

中小企業の経理担当者の年収はどのくらいですか?

中小企業で経理担当者を雇う場合、年収は企業の規模や業務内容、経験年数によって異なりますが、一般的には300万円から500万円程度が相場とされています。地域や業界によっても差がありますので、具体的な条件に応じて検討することが重要です。

中小企業の経理業務は一人でこなせますか?

中小企業の規模や業務量によりますが、適切にシステム化や効率化が進んでいる場合、経理業務を1人でこなすことも可能です。クラウド会計ソフトや自動化ツールを導入することで、業務負担を軽減し、一人でも対応できる体制を整えることができます。ただし、業務量が多い場合や複雑な処理が必要な場合は、外部のサポートや部分的なアウトソーシングも検討することが望ましいです。

まとめ:現状の棚卸しから改善を行い、経理を少人数でまかなおう

まとめ

本記事では、中小企業の経理業務の現状と課題、そして効率化のための具体的な施策について解説しました。

中小企業にとって経理業務の効率化は欠かせないテーマです。少人数で経理を担当するケースでは、システムの導入やアウトソーシング、人材育成の充実が不可欠です。これらの施策を組み合わせることで、属人化を防ぎ、より効率的な業務運営が可能になります。

経理の効率化が進めば、経営者は本来のビジネスに集中でき、結果として企業全体の成長が期待できます。まずは現在の業務を見直し、無理のない範囲から改善を進めていくことが大切です。



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